“牡蠣一筋”

産業観光

マルサ・やながわ水産有限会社 代表取締役

柳川やながわ  政憲まさのり

出身:江田島市能美町
活動拠点:能美町
趣味:ガーデニング、スキー、サイクリング(これから)
好きな言葉:牡蠣一筋
好きな食べ物:キウイ
江田島のここが好き:潮風
今、気になる人: 滝田一郎さん(江田島市観光協会 事務局長)、大下 展弘さん(NPO法人 高田っ子倶楽部 理事長)

 

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  • 牡蠣の生産、販売

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  • 牡蠣を使った加工品を開発したい
  • 環境にやさしい漁具を使った養殖をしたい

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  • カキ小屋による交流人口増加など、牡蠣を生かして地域に貢献していきたい

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  • 牡蠣の消費者と距離を縮めて、牡蠣のファンを増やしたい

 

後藤記者の取材後記
(取材日:2018年2月7日(水))

 

創業40年、マルサ・やながわ水産の手しごと

柳川さんが子どものころは、牡蠣の流通は市場主体だったという。この時代は生産者自らが袋詰めして市場に出荷していた。そのうち、卸売りの単価が市場と変わらなくなってきたこともあり、徐々に仲卸に出荷する割合が大きくなってきた。それにつれて、生産者の名前が消費者に届くことが少なくなり、バブル崩壊以降、仲卸業者への依存が大きくなっていた牡蠣業界では、会社をたたむ生産者が増えているという。
そのような中、柳川さんは38歳という若さで会社を継承し、12年間会社を引っ張ってきた。牡蠣づくりのコツを尋ねると「塩梅」という答えが返ってきた。牡蠣づくりには気候や海況といった自然環境が大きく影響を与える。毎日・毎年変化する自然の変化を繊細に感じ、何年ものの牡蠣をいつ打つか※、どこにどれだけ出荷するか、といった計画を練る。「塩梅」という一見抽象的な言葉には、長く深い経験に基づいた分析力が裏付けられていた。

(※牡蠣の殻から身を取り出す作業のことを「牡蠣打ち」と呼んでいる。)

 

水揚げした牡蠣を牡蠣打ち場に運ぶ。
運ばれてきた牡蠣を打ってむき身にする。早い人で1日100kg以上の牡蠣を打つ。
牡蠣の大きさや品質をチェックし仕分ける。
出荷用の殻付き牡蠣。
丁寧に箱詰めする。

 

牡蠣のファンを増やしたい

「牡蠣本来のおいしさを味わってもらいたい。生産者じゃけん、食べてもらって感動してもらわんと。」
言葉は体を表す。やながわ水産の牡蠣は本当においしい。身がしっかりしていて、焼いてもあまり縮まらない。筆者が出張先の東京の飲食店でふるまったときも、料理人が感心していた。カキフライも、新鮮なむき身を冷たい海水でキュっとしめたあとに油で揚げて瞬間冷凍している。一般的なカキフライは衣が50%のものが多いが、やながわ水産では牡蠣本来のおいしさを味わってもらうため20%にしている。早速いただいたカキフライを自宅で調理して食べたところ、口の中に広がる牡蠣の存在感はカキフライの概念が覆されるほどの体験だった。
「自分で作ったものは自分で売るというプライドを持って牡蠣を作っている。」
「子どもや若い人に牡蠣のファンになってもらい、次の世代に伝承していきたい。」
と柳川さんは熱く語った。

 

ワンフローズン製法のカキフライ。身の割合が大きく一般的なカキフライの2倍はある。
社内に飾られた「牡蠣一筋」。やながわ水産の理念がストレートに伝わってくる。
物腰柔らかい柳川さんも牡蠣づくりのときは職人の表情。

 

遊び心も忘れずに

柳川さんは江田島市水産物等販売協議会の会長も務める。昨年度より、当協議会が運営するカキ小屋「オイスターPortえたじま」が江田島町小用港に期間限定でオープンし、江田島市内の牡蠣生産者が週替わりで鮮度のいい牡蠣を安く提供している。最初は「そんなことをやっても・・・」という意見もあったが、思った以上に成果が出ており、生産者の意識も高くなっているそうだ。
「何事もやってみんとわからん。生産者は責任も大きいけど、その反面自由なんじゃけん、遊び心を持って冒険してみることも大事よ。」と柳川さんは言う。
牡蠣を通じて江田島市に訪れる人が増えることで、地域の活性化にもよい影響が生まれている。

 

オイスターPortえたじまの様子。 写真提供:GO江田島委員会

 

みんなの海じゃけん

20年前までは赤潮が発生していた瀬戸内海も下水処理の規制が強化されてから浄化が進んできた。しかし、一方で海に流れ込む栄養も少なくなり、牡蠣の身が育ちにくくなってきたという。さらには、養殖筏から発生するプラスチックのゴミが世界中に流れている問題が昨今顕在化している。現状ではプラスチック素材の漁具を利用するほうがコストが低いため、問題意識はあっても中々そこまで踏み込める牡蠣生産者は少ない。そんな中、「みんなの海を使わせてもらっとるという気持ちで、環境問題にも取り組んでいきたい。」と柳川さんは力強く語る。環境にやさしい漁具の利用も考案中とのことだ。
全国トップクラスの牡蠣生産量を誇る江田島市だからこそ、海の環境問題に正面から向き合うことが求められる。柳川さんの試みが江田島市のみならず広島県全体の牡蠣産業に革命を呼び、「世界で一番環境にやさしくておいしい牡蠣」として注目を浴び、今以上に豊かな海が育まれる未来を想像した。

 

牡蠣養殖が盛んな江田島湾の風景

 

人物ストーリー

  • 江田島市能美町出身
  • 高校卒業後、家業でもあるマルサ・やながわ水産に就職。
  • 2006年、38歳で代表取締役を就任。現在に至る。
  • 2012年より江田島市水産物等販売協議会 会長を務める。

 

連絡先

マルサ・やながわ水産有限会社
Tel:0120-35-0502
Email:info@yanagawasuisan.co.jp

 

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