“「風」の人から「土」の人へ”

種別S 種別移住

エリア別沖美エリア別能美エリア別大柿

地域おこし協力隊/一般社団法人フウド

後藤ごとう  しゅん

出身:広島県府中町
活動拠点:江田島市
趣味:SUP
好きな言葉:納豆の糸と車の渋滞はいつか途切れる
好きな食べ物:イノシシ肉
江田島のここが好き:海と友達
今、気になる人: 内藤昌史さん

 

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  • コミュニティスペース「フウド」館長
  • 移住サポート、空き家紹介
  • SUPインストラクター

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  • 日本一ワクワクする島にしたい

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  • 移住相談、空き家のご案内
  • SUPのレッスン

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  • 島ならではの体験プログラムを一緒に開発してくれる人

 

峰尾記者の取材後記
(取材日:2019年2月5日)

 

「知る、知り合う、知ってもらう」

地域おこし協力隊になる前、応募書類の作文に後藤さんはそう記していたといいます。『江田島人物図鑑』の立ち上げやコミュニティスペース『フウド』の運営。任期の3年を振り返ると、後藤さんの活動の根っこに、作文に書いた「初心」があったことがよくわかります。

 

 

沖美町にあるコミュニティスペース「フウド」

 

『江田島人物図鑑』 スタート

『江田島人物図鑑』の初取材は2016年7月。着任からわずか3か月後にはこのプロジェクトをスタート。振り返ってみると、そのスピード感に驚くばかりです。「人物図鑑を始めようと思ったのは、想像していた以上に江田島市に面白い人がいるなあと感じたことがきっかけでした。実際に自分が島に住んでみると、外にいる時には見えなかった魅力的な人たちの姿が見えてきました」と後藤さん。「そうした、人の魅力を発信することが出来れば、その人に会うことを目的とした来訪者が増えていくはず。そうすれば、単なる物見遊山的な観光だけではなく、人と人との交流が生まれるのではないか。それが島の活性化につながっていく。そうしたねらいを持って『人物図鑑』をスタートさせました」。島の外の人たちに良さを伝え、島の内にいる人と繋がるきっかけを作る。外と内。人の縁が出来ることで、面白い化学反応が起きていくはず。この考えは、後藤さんがのちに立ち上げる『フウド』にもつながっていきます。
「調査や計画作成はとてもやりがいがあり、素晴らしい経験になりました。一方で、作った計画が実際にどう動いていくかまで見届けることはあまりなく、計画の実施は地元の行政や住民次第なところがありました」。言わば、自治体の「外」からの関わりを重ねていた後藤さん。「地方の若いひとたちは、自分が仕事で手がけた計画を実際に実行する立場を担っていて、田舎でいきいきと働く若い人が増えていました。いつからか、彼らの姿が眩しく見え、憧れるようになっていたんです」。外の役割から内の役割へ。想いはいつしか募っていきました。

 

社会人時代  ~調査・計画作成で地方を歩く~

府中町出身の後藤さん。高校までを広島で過ごし、大学は千葉へ。大学院を出たのち、都内の会社へと就職。「東京に住みながら、全国の田舎を訪ねていました。地域を調査し計画をつくることが仕事でしたから、地方の過疎地域、特に離島にはよく行っていました」。計画を練るためには事前調査が必要となります。アンケートやヒアリングなど、地域住民と触れ合う機会も多かったと後藤さんは言います。そうした仕事を続けるうちに、自分のなかにある感情が育っていることに気づきます。

地域おこし協力隊仲間と一緒に古鷹山を上って島の魅力を再確認

「地域おこし」の原体験

後藤さんの「地域おこし」体験。その原風景には、大学院時代の経験があるといいます。大学院2年生のゴールデンウィーク、五島列島の小値賀島へ行きました。東シナ海に浮かぶ小さな島の世界観に衝撃を受け、1ヶ月半後にすぐまた小値賀島へと向かいます。国土交通省が募集していた「地域づくりインターン(若者の地方体験交流)」の一員として、夏休みのあいだを小値賀島で過ごします。島では、一本釣り漁や農作業の体験、お祭りや福祉施設の手伝い、キャンプなどの自然体験活動を経験。成果として、島の写真展を仲間で企画します。住民に「島のいいところ」を書いた紙を持ってもらい、島の人口の約1割、300枚以上の写真を撮りました。「地方で地元住民の生活に触れる。当時の自分にとってセンセーショナルな体験でした」。

 

『フウド』 という舞台装置

『江田島人物図鑑』の次に後藤さんが取り組んだのが「場づくり」。外の人と内の人が交わる場を作る。それが、沖美町に出来た『フウド』です。「『フウド』は『風海土』と書きます。風の人が海を渡って土の人と出会う。そうした思いをこめて名づけました。島の外にいる人と島の内にいる人が出会い、混じり合う場。人と人の交流が生まれ、化学反応が起きる場所。そうした『舞台』をつくりたくて『フウド』をスタートさせました」
2017年春、使用されなくなっていた公共施設のリノベーションに着手。作業は基本的にDIY。後藤さん自らが率先して作業に挑戦しました。「いざ自分が当事者になると、とても難しかったです。まず、予算に限りがありました。床に敷く板が足りなくて廃材をもらいに行ったり、それでも足りなかったので人工芝を敷いてみたり。かつては計画を作ることが仕事だったのに、自分が現場にいると計画を作るどころではなかったですね。」と後藤さんは笑います。「行き当たりばったりの部分も多かったのですが、それがとても勉強になりました。手作業は、一緒にやってくれる人が何人もいたからこそ出来ました。島の仲間たちの有難さを知りました」。
外壁もカラフルに生まれ変わった『フウド』は2017年10月にプレオープン。2018年4月から本格稼働を始めます。パソコンだけで仕事する人向けの「コワーキングスペース」、地方拠点開設を検討する企業向けの「サテライトオフィス」、新たな特産品を試作してもらうための「共同調理場」など、フウドの機能は多岐にわたります。なかでも、島の若いママさん世代が仕掛けるイベント『コドモフウド』は人気の企画となっています。「『フウドをこういう用途で使ってください』とこちらが決めるよりも、ここを舞台に『なにかやってみたい』という人たちの声を大事にしたいと思っています」と後藤さん。「フウドという場を用意したら、『こんなふうに使ってみたい』と言ってくれる人たちが思っていた以上にいました。『フウド』はまだ出来たばかりですが、ここを舞台に交流が生まれていることを日々目の当たりにしています」。

つながり、その先へ

2018年11月。協力隊任期中に後藤さんは会社を設立します。その名も『一般社団法人フウド』。「これまでに取り組んできた地域交流促進や移住・定住支援に加えて、観光やアクティビティー事業にも取り組んでいく予定です。島にある素晴らしいコンテンツを紹介するような事業も考えています」。島に来てからSUPを始めた後藤さん。仲間たちと「えたじまSUP」という体験事業もスタートさせています。人と人が出会い、つながる。自身も「土」の人(島の内の人)のひとりとしてそのきっかけや仕組みを作る後藤さん。『フウド』をはじめ、彼が用意する「舞台」でどんなことが巻き起こっていくのか。これからの活躍がますます楽しみです。

夕陽を背景にSUPを漕ぐ後藤さん

 

 

 

人物ストーリー

  • 広島県府中町出身
  • 高校卒業後、千葉の大学へ進学。建築・都市計画を学ぶ。
  • 大学院卒業後、東京の都市計画・まちづくりコンサルタントに就職。限界集落から人口集中地区まで、現地密着の調査・プランニングの仕事に従事。
  • 2016年4月、江田島市へ移住。地域おこし協力隊(移住促進支援員)として3年間活動。
  • 2018年11月、一般社団法人フウド設立。現在に至る。

 

連絡先

コミュニティスペース「フウド」
Tel:0823‐69‐8288
Mail:gotoetajima@gmail.com
HP:https://fuudo.jp/

 

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ETAJIMA JINBUTSU ZUKAN