“オリーブへの愛と情熱 試行錯誤の日々”

 

オリーブ栽培者

川口かわぐち  利恵としえ

出身:江田島市大柿町大君
活動拠点: 能美島
趣味:猫に仕えること
好きな言葉:土に根を下ろし 風と共に生きよう 種と共に冬を越え 鳥と共に春を歌おう
好きな食べ物:ミョウガ
江田島のここが好き:自然 空、山、海、マイファーム
今、気になる人:ベニシア・スタンリー・スミスさん

 

  • オリーブ、ハーブの栽培
  • 江田島市オリーブ栽培者の会 代表

  • オリーブ畑でカフェやワークショップ
  • 竹やぶギャラリー

  • 場所の提供
  • オリーブについてのお話し

  • 色々な人とコラボして、ヨガやワークショップなどの
    教室を開催したい

 

西村記者の取材後記
(取材日:2017年12月7日(木))

 

すべてを包み込む包容力

ある人が言った「川口さんの『ええんよ、ええんよ~』には、すべてを包み込むような包容力がある。」と。まったくその通りだ。自然を愛する人には、宇宙のような懐の深さが備わるのかもしれない。いつも笑顔で迎えてくれるあたたかさは、能美島の温暖な気候によって育まれたのだろうか。4歳の時から大柿町、能美町で暮らす川口さんは、江田島市の自然とともにあった。病院や市役所勤務を終えた今、じっくり畑に打ち込んでいるのは必然だろう。オリーブ栽培者の会の会長に推薦したのも、そのお人柄あってこそ。そう川口さんは、オリーブ栽培者でありながら、栽培者の会の会長だ。

 

アイデア、熱心さ、そして愛情

川口さんは、江田島市がオリーブ栽培をはじめた年から苗木を購入。挿し木でも増やし、現在、約50本のオリーブを栽培している。年々収穫量を増やす優良栽培者さんだ。知恵を絞り、試行錯誤を繰り返す研究熱心さにも感心させられる。「できることはあれこれ試してみるんよ。フレンチマリーゴールドがハマキムシを減らせるんじゃないかと思って、オリーブのそばに植えるとるんよ。農薬を使わなくてもええようにね。」と話してくれた。畑には幹が黒くなっている木が何本かある。オリーブを燃やした灰でつくった炭を塗っているそうだ。「炭には防虫効果があるじゃろ。オリーブアナアキゾウムシ(オリーブの天敵)が卵を産まんかったらええなぁ」と塗ってみたという。塗り方もあれこれ。幅を変えたり、縞々に塗ってみるなど、まるで実験だ。まだ効果は不明だというが、これでゾウムシの被害が減るのなら、願ったりかなったりである。まだここには書けない実験もしているそうだ。いずれ、川口さん式“害虫への勝利の方程式”が見つかるかもしれない。
川口さんは、オリーブと話す。台風が来る前には「台風が来るよ~。がんばって~!」。台風の後には「ようがんばったね~!」。その甲斐あってか、支柱をしていなくてもほとんど倒れることはないという。実をつけた時も、「ようけ実をつけてくれてありがとう」と声を掛けている。オリーブたちは子どものように愛されている。きっとオリーブたちも川口さんの言葉を理解しているのでないかと思う。

 

オリーブ茶を作る葉の乾燥方法を実験中。

 

オリーブ畑がとにかく大好き

オリーブ畑の中でも一番お気に入りという場所に連れて行ってもらった。1本のオリーブの樹の下だ。しっかり幹が広がった枝の下には広々とした空間がある。この樹の下に入ると、子どもの頃に公園の藤棚の上に秘密基地を作ったことを思い出した。藤棚の上にシートを敷いただけの秘密基地。特に何があるわけではないが、木に登る楽しさと、木の枝に囲まれた心地よさを、子どもながらに感じていた。あとで近所の方にひどく怒られたのだが…(笑)川口さんに案内してもらったオリーブの樹の下も、樹に抱かれているような安らぎと、自分だけの特別な場所といったワクワク感がある。日差しが降り注ぐ中、この木陰で日差しを避け、そよ風を感じながらぼーっとするのは、どんなに気持ちいいだろうと想像する。川口さんは、ここでお弁当を広げたり、お昼寝をしたり、一日中オリーブ畑で過ごす。勤めている時は週末農業だったが、退職して毎日畑へ出られるようになり、日々、空の青さや流れる雲、陽光に輝く木の葉の美しさ、鳥の可愛いさえずり…などの自然を存分に感じられることがうれしいという。

 

オリーブの灰を塗ったオリーブの樹。手前にはフレンチマリーゴールドが植えられている。
一番のお気に入りの場所は、このオリーブの樹の下。
オリーブを楽しむ。新漬けやオイル漬けも川口さん作。
坂道を上ると川口さんのオリーブ畑が見えてくる。

 

人とのつながりも大切に

研究熱心ということにも通じるが、人とのご縁づくりにも熱心だ。島の動きなどを知るために、積極的にイベントに出席し、Facebookもはじめた。出会った人には、オリーブの魅力を広めようと、声を掛ける。オリーブに興味を持つ人も増えてきたと実感しているという。畑に遊びに来てもらうのも大歓迎だ。癒しの空間を味わってもらいたい。ゆくゆくは、畑でカフェや教室、竹やぶを整備してギャラリーなどもしたいと考えている。ゆったりと楽しんでもらえる場所づくり。江田島市に来てもらうきっかけにもなったらいい。「それは、一人じゃできんけぇね。色んな人とコラボして、この場所でイベントやワークショップができたらねぇ」という。「例えば、オリーブの樹の下で行うファームヨガとかどうかねぇ?『きょうのあなたのパートナーはこの樹です』なんて楽しいよねぇ」と笑顔で話す。オリーブ畑での青空教室。自然に寄り添い、心も身体も喜ぶに違いない。実際取材に伺ったこの日も、畑にテーブルと椅子を置き、オリーブ葉とレモングラスをブレンドしたハーブティーで迎えてくれた。青空の下で、ぽかぽか太陽と鳥の声、平和な時間が流れ、ここにいるだけで癒されることを体感した。

おわりに、一つ。川口さんのオリーブ畑の特徴を紹介する。四つ葉のクローバーのように、幸せをもたらすというオリーブのハートの葉っぱ。川口さんの畑には、このハートの葉っぱがとても多くある。江田島市のオリーブ振興をPRするためにオリーブ振興室で制作する“ハートの葉っぱのしおり”を作るときに、取りに行かせてもらっているほどだ。今回の取材で色々なお話を聞くと、畑に注がれている川口さんの愛情の分だけ、ハートの葉っぱが多くあるのだと、謎が解けた気がする。

 

オリーブ葉とレモングラスのハーブティーでおもてなし。
愛いっぱいのオリーブ畑にはたくさんのハートの葉っぱがある。オリーブの花言葉は「平和」「安らぎ」「知恵」「勝利」。取材後期の中にこの4単語を使ったが、見つかったかな?

 

人物ストーリー

  • 幼少期から大柿町大君で暮らす
  • 大柿高校卒業後、浜井病院に就職
  • 鹿川に嫁ぐ
  • 病院や福祉施設勤務を経て、准看護師の資格を生かし、江田島市高齢介護課で10年勤務
  • 2017年3月退職し、畑に専念する

 

連絡先

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