”お寺という空間に浸る機会を届けたい”

文化芸術

エリア別能美

光源寺 住職

海谷うみたに 真之まさゆき

出身:広島県江田島市
活動拠点:能美町高田
趣味:カープ観戦(カープ
好きな言葉:ようこそようこそ
好きな食べ物:イチジク
江田島のここが好き:風景
今、気になる人:地域おこし協力隊のみなさん

 

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  • 朝事あさじ(常朝事):毎朝お寺で行われる法話。誰でもお参りすることができる。
  • えたじま手づくり市:島内外の手づくりの作品や食べ物がお寺の境内に集まる交流市場。年に2回開催されている。
  • 寺子屋体験:お寺の滞在を通じて、お経や写経、掃除、精進料理などを体験する子ども向けプログラム。
  • 各種法事・お勤め

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  • 2017年は本堂再建200周年にあたるため、10月に記念法要を予定している。
  • 今まで以上にお年寄りや近所の方々が気軽に集える場所にしたい。

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  • 365日毎朝誰でもお寺にお参りして法話を聞くことができます。お気軽にお越しください。

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  • 手づくりの品物をつくっている人。ぜひ手づくり市に出店してみてください。

 

後藤記者の取材後記
(取材日:2016年10月21日(金))

全国で江田島市だけ?365日誰でも毎朝お参りできる“お朝事あさじ

「お朝事(常朝事とも言う)」。365日毎朝お寺で法話が行われ、誰でもお参りすることができる風習だ。江田島市内のお寺の多くが「お朝事」を行っており、しかも日本全国でもこの地域だけで行われている珍しい風習らしい。と、聞いて調べてみたところ、有名な長野市の善光寺など、一部のお寺で行われていることは確認できたが、江田島市のように地域一帯のお寺で取り組まれているという情報は得られなかった。なぜ、このような風習が江田島市で広まったか、どうも江戸時代の本願寺の歴史が影響しているようだ。詳しいことが気になる人は住職に聞いてみてほしい。
海谷さんは「とにかく、気軽に、お寺という場所に来てもらいたい」と言う。難しく考える必要はなく、お寺という“空間”に浸るだけでも意味がある。いつでも誰もが気軽に訪れることができる場所をつくりたいという思いが、まさに「お朝事」の風習に表れている。

 

ひっそりとした境内に身を置くだけで不思議と心が落ち着く

「いつだれが来てもいいように」と毎日庭の手入れが施されている。

 

もはや江田島市の風物詩「えたじま手づくり市」

僕が江田島市に移住してまもないゴールデンウィークに「第8回 えたじま手づくり市」なるものが開催されるという情報を得た。お寺で開催される市場ということで「何やら面白そうだぞ」と思い、開催時刻少し過ぎに足を運ぶと、すでに駐車場の高田小学校グランドはほぼいっぱい。その光景に驚きつつ誘導を待っていたら、法衣を羽織ったお坊さんが誘導員の方々に冷たいお茶を配りはじめた。それが海谷住職だったのだが、5月にしては暑い日差しの中、駐車場で誘導する方々への心配りはとても印象に残っている。
境内につくと、その賑わいにまた驚く。いち地区のお寺の催しということで少し甘くみていた。出店者もお客さんも子どもも大人もみんな楽しそうに手づくり市を楽しんでいる。手づくりの工芸品や食べ物はもちろん、子どもが参加できるワークショップ、お寺の子ども会による演劇、ミュージシャンによる演奏など、魅力的な内容が盛りだくさんで一日中飽きずに過ごせてしまうくらい。11月に開催された第9回手づくり市にも遊びにいったが、もはやこれは江田島市の風物詩だなと実感した。
「手づくり市には『こうしなければいけない』というルールはない。ただひとつ“手づくり”であること。出店者も参加者もそれぞれ思い思いに過ごしてもらえれば。」と海谷さんは言う。取材した日にも、翌月の「第9回手づくり市」に向け、門徒の高齢者が集まって、使わなくなった着物の生地を再利用しフクロウの人形を作っていた。人形そのものもかわいかったし、おばあちゃんたちが集まって世間話をしながら工芸している様子にとても和やかな気分をいただいた。

 

手づくり市の様子。境内はお客さんと出店ブースでとてもにぎわっている。
来場者への住職の心配り。

島内外の子どもたちが体験する寺子屋

光源寺では江田島市内外の子どもたちを対象にした寺子屋体験も行っている。お経を読んだり写経を書いたり、精進料理や掃除など、お寺の普段のお勤めを体験する。子どもたちはこの体験を通して礼儀や作法はもちろん、お寺がどのような場所かを身をもって知ることができる。
寺子屋体験をした子どもの中には、体験を終えて家に帰った際、自ら仏壇の前に座ってお経を読みだした子もいるとのこと。子どものころにこんな体験ができれば僕はもう少し立派な大人になっていたかもしれない(笑)。今からでもぜひ「大人の寺子屋体験」をさせてもらえないだろうか。

 

みんなの笑顔で迎えたい。本堂再建200周年の記念法要

今年(2017年)は、なんと現在の本堂が建立されて200周年の年にあたるという(光源寺そのものは創建から450だとか)。とても記念すべきことだなと感じる一方、海谷さんのプレッシャーも大きいのではと勝手に心配をしてしまう。
「プロとして作法や所作などにメリハリを持ってお寺本来の仕事をしっかりとお勤めしていかなければならない」と海谷さんは言う。手づくり市のように、お寺の行事としては珍しい取組を行っていると、時には周りから批判的な意見をもらうこともあるのかもしれない。だからこそ、「プロとしてのお勤め」を重んじているのではないかと推し量る。
「一生の中で何度か必ずお寺が必要なときが来る。そのときのために、少しでもお寺を身近に感じてもらいたい。仏法の価値は下げないが、お寺に浸るための敷居は下げる。」
「200年間、ここに集った人々の姿を想像すると、各時代の人たちができる範囲でお寺を直しながら守られてきたとしみじみ感じる。」
「島の風景は少しずつ変わっているけれど、門をくぐれば200年間変わらない景色がここにある。宗派がどうとか住職が誰とかではなく、お寺の空間にホッとし仏様の前に座るということに幸せを感じる。200周年のお祝いをみんなの笑顔で迎えたい。」
海谷さんの言葉ひとつひとつが沁みる。今年の10月がとても楽しみだ。

 

仏様の前でお経を唱える海谷さん。

 

人物ストーリー

  • 江田島市能美町高田出身
  • 中学高校は広島市内の学校に通学。京都の大学を卒業後、西本願寺で学ぶ。
  • 25歳で実家の光源寺でのお勤めをはじめる。
  • 2011年に住職に就任。現在に至る。

 

連絡先

光源寺
Tel:0823-45-2422
HP: https://www.kougenji.org/

 

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